裁判離婚で認められる法定離婚原因について。民法が定める5つの法定離婚原因とはなにか?

離婚の法律と、離婚相談に関するポータルサイト
離婚の法律・相談トップ 始めての方へ お問合わせ

離婚の基礎知識
どんな場合に離婚はできるか
法定離婚原因
回復の見込みのない強度の精神病
悪意の遺棄
3年以上の生死不明
浮気(不貞行為)
婚姻の継続が困難な重大な事由
離婚の方法と手続き
協議離婚
調停離婚
審判離婚
裁判離婚
離婚と子供の問題
離婚とお金の問題
離婚資料
各種相談先
特集
▼法定離婚原因
・訴訟には法定離婚原因が必要/5つの法定離婚原因とは
・無責の配偶者から有責配偶者への離婚請求と双方無責
・有責配偶者から無責の配偶者への離婚請求
訴訟には法定離婚原因が必要

協議離婚をする場合には、夫婦で離婚を合意すればよく、離婚原因に制限はありません。

しかし、他方が離婚に反対して離婚の合意が成立せず、裁判離婚をする場合には、法律の定める離婚原因にあたることが必要です。

夫婦が離婚を決意するには、いろいろな原因があります。夫婦の協議で離婚する場合には、お互いに離婚を合意し、離婚届を出せば、それで離婚が成立します。したがって、離婚原因には制限がなく、お互いが離婚したいと思い、離婚の合意ができれば、離婚することができます。

これに対して、一方が離婚したいと思っても、他方がこれに反対し、合意できない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをします。それでもうまくいかない場合は、最終的には、裁判で決着をつけるしかありませんが、裁判で離婚がみとめられるためには相手に離婚されてもしかたがないというような法律の定める理由(法定離婚原因)にあたることが必要です。協議離婚もダメ、そして相手が調停でも離婚を認めないとなると、離婚の裁判を起こして、「原告と被告を離婚する」という判決をとらないかぎり、永久に離婚はできないことになります。訴訟で離婚できるかどうかの判断は、法定離婚原因(事由)に当たるか否かによります。

以前は、夫婦の一方が責められるべき行為(有責行為)をした場合に離婚原因を認める傾向にありましたが、現在では、夫婦の一方が有責行為をしていない場合でも、夫婦が愛情を失い、結婚が破綻したとされる場合に離婚原因が認められる傾向になっています。

このことから、離婚が認められるためには、夫婦間で結婚が破綻したといえるかどうかが重要になってきます。

民法が、離婚原因として認めるのは以下の5つです(民法第770条1項)。

民法の定めている5つの法定離婚原因

1.相手に不貞行為があった場合
2.相手から悪意で遺棄された場合
3.相手の生死が3年以上不明である場合
4.相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合
5.婚姻の継続が困難な重大な事由がある場合

これらの離婚原因があることの他に、将来、戸籍上の婚姻を継続させても実質的な夫婦関係への修復は、まず不可能であろうという事情があることが必要です。(770条2項)

無責の配偶者から有責配偶者への離婚請求と双方無責

民法では、訴訟で離婚請求できるのは、離婚を請求する側に先に述べたような民法上の離婚原因がなく、相手にある場合(無責の配偶者から有責配偶者に対し離婚を求める場合)と、離婚請求する側にもほとんど離婚原因がなく、相手にもほとんど離婚原因がないが、夫婦としては破綻し修復の見込みがない場合(双方無責の場合)です。

有責配偶者から無責の配偶者への離婚請求

離婚請求する側が有責で、相手が無責の場合には、「客観的に破綻している」ことだけでなく「離婚により無責の配偶者が酷な生活状態に追いやられることがないための手当てをすること」などの制約がかなりきびしく付けられてやっと認められています。

最高裁は昭和62年9月2日、それまでの判例を変更し、愛人のいる夫が36年間別居生活をしながらも、妻に対して生活費を負担し続け、離婚に際して財産分与の提供を申し出て、離婚により妻は過酷な状況に追い込まれない、そして未成年の子どもがいないなどの要件があった場合に、有責の者からの離婚請求を認めました。

その後の判決は別居期間をどんどん短くして、およそ7〜8年間別居期間が続いていれば、その他の要件の充足をも当然検討しますが、ほぼ離婚を認めています。

別居の期間が相当続いている、相手配偶者が離婚により苛酷な状態に置かれている、心配がない(生活費や財産分与をそれなりに提供しているとか、あるいは相手配偶者も生活能力があるなど)、未成年の子がないなどの要件をみたせば、離婚を認められる可能性があるようになったのです。

■ その他に、どんな場合に離婚はできるのか?

 
 
  本サイトのすべての情報を無断転載することを禁じます。 リンクについて E-MAIL webmaster@rikon.to