法定離婚事由の3年以上の生死不明の状況について。行方不明や、離婚後あらわれたらどうなるか。

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▼3年以上の生死不明
・配偶者が3年以上生死不明の場合の離婚と生活費/生死不明と認定されるには
・3年待たずに離婚できる場合/失踪宣告制度
・裁判離婚と失踪宣告とどちらを選ぶか
配偶者が3年以上生死不明の場合は、離婚することができます

民法の定めている法定離婚事由の「3年以上の生死不明」の場合とは、最後の消息があった時から計算して、生きているのか死んでいるのか分からない状態が3年以上続いているという意味です。音信不通であっても、生存がはっきりしているような場合は含まれません。

居所が分からなくとも生きていることがわかっている場合は、「生死不明」ではなく「行方不明」です。

生死不明とは、生きているのか死んでいるのか確認できない状態をいい、単なる別居や行方不明は含まれません。また、所在がわからない場合でも、生きていることが推定される場合には生死不明とはいえません。ただし、所在不明の状態が長期間継続すれば生死不明と推定することができます。

また、生死不明の原因、理由あるいは生死不明者の過失は問いません。したがって、配偶者に3年以上の生死不明の状態が続けば、その原因、理由あるいは配偶者の過失や責められるべき事情の有無を問はず、そのことのみで離婚原因になります。

離婚するには裁判離婚の方法しかありません。地方裁判所に提訴し離婚判決を得る事ができます。

3年以上の生死不明により離婚の判決が確定したときには、その後当人が姿を現わしても判決が取り消されたり無効になったりすることはありません。

【関連ページ】裁判離婚

行方不明、生死不明の場合の生活費をどうするか(財産がある場合)

家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任をしてもらい、財産管理人を相手に扶養料支払いの審判、仮処分を申し立てます。管財人は家庭裁判所の許可を得て、財産売却、扶養料の支払いをすることができます。

生死不明の証拠となるものが必要

知人や勤務先などの陳述書、警察への捜索願いなど、あらゆる手をつくして探したが見つからなかったということを示す証拠資料が必要になります。

3年待たずに離婚できる場合

時々電話をかけてきたりするのでどこかに生きていることは確かであるが、自分のいる場所も教えず家に帰る意思もなさそうであるというのは「生死不明」とは言えません。単なる別居、行方不明です。

※生活費を送ってこなければ「悪意の遺棄」に当たります。
※家庭に戻る意思はない場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」当たります。
※配偶者が理由も無く家庭を捨てて出て行った場合には「悪意の遺棄」に当たります。
△上記のように「婚姻を継続しがたい重大な事由」「悪意の遺棄」の場合には3年間待たなくとも離婚事由があることになり離婚請求できます。

失踪宣告制度の利用

結婚相手が生死不明となった場合には、「3年以上の生死不明」を理由とした離婚の裁判を起こす以外に、「失踪宣告制度」の利用も考えることができます。

失踪宣告とは、

  • 不在者の生死不明が生存を証明できる最後のときから7年間以上続いている場合
  • 不在者が危難(船の沈没、飛行機の墜落、登山中の雪崩など)にあい危難の去ったときから1年以上続いている場合

利害関係人から家庭裁判所に申し立てをし、裁判所が事実の調査、証拠調べなどを行った上で公示催告の手続きを経て出す審判です。

失踪宣告の審判が出されると、失踪者は失踪期間満了のとき(7年後)に死亡したものとみなされます。

つまり、離婚は「生き別れ」ですが、失踪宣告の場合には「死に別れ」として扱われることになります。配偶者が死亡として扱われるわけですから、当然、残された一方は再婚することも可能です。

離婚のように財産分与や慰謝料は発生しません。その代わり遺産の相続ができます。

問題は、失踪者が生きて戻ってきた場合です。この場合、当然失踪宣告は取消されはじめから死亡していなかったことになります。民法では、本当に生きていることを知らないで(善意で)再婚した場合には、前の結婚(失踪者との結婚)は復活しないとしています。また、遺産についても、善意であれば、現在残っている財産だけを返せばよいとしています。

裁判離婚と失踪宣告とどちらを選ぶか

失踪宣告は、財産相続の必要がある場合などに利用されています。

財産相続の必要がなく、婚姻関係の解消が目的であるならば、失踪宣告より裁判離婚の方法をとったほうが無難といえます。

失踪宣告審判確定後の手続き

審判確定日から10日以内に、失踪宣告審判書謄本、確定証明を添付して失踪届を提出します。

■ その他に、どんな場合に離婚はできるのか?

 
 
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