離婚原因の第三者に対する慰謝料を請求する方法

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▼第三者に対する慰謝料請求
・離婚原因をつくった第三者に対する損害賠償請求/請求の方法
・夫婦関係が破綻に瀕している場合の貞操義務/裁判をしない和解の場合
・離婚する場合、しない場合の不貞相手方に対する責任追及/賠償請求の時効
離婚原因をつくった第三者に対する損害賠償請求

親族が原因で婚姻関係が破壊されたという場合には、その親族に対する損害賠償請求ということも考えられます。そのときの夫婦関係の状況や、第三者の意図や行為の状態など、さまざまな調査のうえで判断することになります。

夫とその両親が理由もなく妻を責め立て家から追い出したため、やむなく離婚したケースで、夫の両親にも妻に対する慰謝料の支払を命じた裁判例があります。

不貞の相手に対する慰謝料請求

不倫をした相手は、貞操権を侵害されて精神的苦痛を味わい、それが原因で婚姻関係が破綻し、耐えがたい苦痛を味わった相手の配偶者に対して、その責任を負わなければなりません。

配偶者が浮気をした場合、損害をこうむった配偶者は、不貞の相手に対して婚姻関係を破壊されたことに対しての精神的苦痛の慰謝料として損害賠償を請求することができます。

慰謝料の金額は浮気に関する個々の事情や損害の具体的程度などが考慮されて決められます。したがって、一般的な基準額というものはありません。和解の場合も、判決に至った場合も、100万円から200万円を支払うことで解決しているようです。

判例は、配偶者の不貞行為の相手方に対する慰謝料請求に関して、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係をもった弟三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係をもつに至らせたかどうか、両者の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、他方の配偶者が被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある。」といっています。

最高裁判所は、不貞の相手方は、夫または妻の権利を侵害するもので、不貞行為が、誘惑によるものか、自然の愛情によって生じたものかにかかわらず違法性があるとして慰謝料請求を認めます。しかし、責められるべきは貞操義務に違反した配偶者で、不貞行為の様態によっては第三者には責任を問えないという見解もみられます。

※妻が愛人を人前で罵倒したり、恐怖を与えるような行為をしたりすると、慰謝料は請求できなくなるばかりか、逆に訴えられるということにもなります。

愛人の責任

愛人の責任については意見もまちまちです。判例も固定されていないようです。確実に慰謝料を請求できるのは、愛人が、その関係を利用して夫婦の一方を傷つけようとした場合や、暴力や脅迫などの違法な手段で半強制的に妻や夫に不貞行為をさせた場合です。

子どもから愛人に対する慰謝料請求

夫婦の愛情の亀裂は愛人の存在が原因であっても、親子の亀裂には直接の因果関係はないという最高裁の判決(昭和54.3.30)が出てからは、高裁などでは子どもからの愛人に対する慰謝料請求を認めない立場を取り始めました。

しかし、特別の事情がある場合、たとえば「とくに女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど」があれば慰謝料請求は可能だという主旨を述べています。

請求の方法

夫婦や親族間の問題ではありませんので、提訴する裁判所は家庭裁判所ではなく地方裁判所(請求額が90万円を超えるとき)や簡易裁判所(請求額が90万円以下のとき)です。

離婚調停や離婚訴訟の場で夫婦間の慰謝料の問題を解決するときに、不貞行為を働き離婚の原因を作った配偶者が、離婚の慰謝料に不貞行為の相手に対して請求されている慰謝料の分も上乗せして支払い、不貞行為の相手に対する訴訟は取り下げてもらうという方法で解決されている場合が多いといえます。

夫婦関係が破綻に瀕している場合にも貞操義務があるのか

破綻状態にある夫婦の一方が配偶者以外の者と性的関係をもった場合に、必ずしも不貞行為にはならないとした判例があります。

「浮気相手が夫と肉体関係を持つことが妻に対する不法行為となるのは、それが妻の婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に対する利益を侵害する行為ということができるからだ。したがって夫婦の婚姻関係がすでに破綻していた場合には、原則として、妻にこのような権利または法的保護に値する利益があるとはいえないので不法行為にならない」(最判平成8年3月26日)

裁判をしないで和解する場合

裁判をしないで和解する場合には、慰謝料が高額になる傾向にあります。それは、不倫関係の事実は間違いはないこと、裁判で争うことになるとすべての事実関係が法定であらわになること、裁判をすると一定の時間がかかりその間の精神的負担が大きく、早く解決してしまいたいという事情があるようです。

夫が不貞をしたにもかかわらず離婚しない場合に、夫に対する追求がなされないままに、不貞の相手方に対する責任追及ができるか

妻が夫を許したかどうかは、不貞の相手である女性に対する請求権に影響しませんが、その責任の大小、具体的には損害賠償額に影響するということになります。

夫の不貞が理由で離婚する場合の不貞の相手方に対する責任追及

不貞の相手方の行為は妻に対する不法行為となり、夫との間で共同不法行為になりますから、夫が一定の金額を支払った場合には、その分だけ慰謝料の支払義務が消滅するとした判例があります。

損害賠償請求の時効

不貞行為も1つの不法行為であり、不法行為による損害賠償請求権は、損害及び加害者を知ったときから3年間請求しないで放置しておきますと時効によって消滅してしまいます。これを中断する為には、調停とか、訴訟とかの手段を講じておく必要があります。

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