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▼親権者を誰にするか
・親権者を誰にするか
・子どもが複数いる場合
・別居中の場合
・母親の妊娠中に離婚した場合
・親権者を決定する基準
・子どもの年齢と親権者
・親権とはどういうものか
・親権と監護権を別々に決める場合
・第三者でも監護者になれる
・親権者でない方の親が監護者を決めずに子どもを育てる場合
・決まらない場合はどうすればよいか
・親権者を変更したいとき
・監護者を変更したいとき
・どんな場合に親権者・監護者の変更が認められるか
・親権者と監護者が同じ場合の変更は難しい
・親権者変更の届
・親権または管理権を喪失させられる場合
・親権または管理権を辞任する場合
・お互い子どもを押しつけ合ったらどうするか
・親権者が死亡した場合
・一方が力ずくで子どもを引き取ってしまった場合
親権者を誰にするか

未成年の子がいる場合には、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚はできません。離婚届には親権者を記載する欄があり、親権者の記載がない場合には、受け付けて くれません。つまり、先に 夫婦の離婚だけ受け付けてもらい、子の親権者指定は後で決めることはできないのです。

当事者の協議で決めることができますが、子どもの生活、福祉を考えて決めることが大切で、親のエゴや離婚の際の意地の張合いなどで決めるものではありません。

子どもを離婚後も夫婦の共同親権とすることはできません。必ず夫婦の一方が親権者となります。また、子が数人いる時は、それぞれの子について親権を決めなければなりません。 夫と妻に分けることもできます。

離婚届を受け付けてもらいたいがために、とりあえずどちらかを親権者として記入しておいて、離婚が成立してからあらためて話し合おうと思っても、親権者は離婚届に記載したとうりに戸籍に記入されてしまいますので、後で変更するつもりであったとしても、親権者の変更は家庭裁判所の許可が必要ですから、簡単に変更できるものではありません。

子どもが複数いる場合

一般的に、未成年の子どもが複数いる場合、特に子ども全員の年齢が低い場合、一方の親が全員の親権者になるのが原則です。親権を分けるのはやむを得ない事情があるとき、子どもがある程度の年齢に達している場合です。

※子どもがある程度の年齢に達している場合、子どもの気持ちを汲み取ったうえで、親権を別々にすることが必ずしも不合理ではないと判断されることもあります。

別居中の場合

別居しているときは、よほど親権者として不適切でない限り、子どもと生活をともにしている親が有利になります。

母親の妊娠中に離婚した場合

子どもが生まれる前に離婚した場合は、親権者になるのは母です。つまり、共同して親権を行使していた者が別れて、共同を止める場合にだけ、親権者をどちらかに決める必要が出てきます。出産後に協議によって親権者を父親に変更することも可能です。協議が調わない場合は、親権者指定の調停または親権者指定の審判を申し立てることになります。

親権者を決定する基準

親権者の決定は、子どもの利益や福祉を基準にし判断するべきものです。どちらの親を親権者と定めたら子どもに利益があり、幸福かということです。

★子どもの現状を尊重し、特別の事情がない限り、現実に子どもを監護教育している親を優先的に親権者とするケースが多いようです。

★乳幼児の場合には、特別の事情がない限り、母親が優先的に親権者になるケースが多いようです。

★子どもがある程度の年齢に達していた場合には、その子どもの意向が尊重されます。

★不貞行為などの有責配偶者だからといって親権者になれないわけではありません。

★経済力については、養育費を支払うことによって解決できますので、必ずしも重要な要素にはなりません。

  • 父母の側の基準
    心身の状態、生活態度、監護能力、精神的、経済的家庭環境、住居、教育環境、子どもに対する愛情の度合い、従来の監護状況、監護補助者がいるか、など。
  • 子どもの側の事情
    年齢、性別、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への適応性、子どもの意向、父母との結びつきなど。

子どもの年齢と親権者

  • 0歳〜10歳
    衣食住全般にわたって子どもの面倒を見なければならないので、母親が親権者になる例が多い。
  • 10歳〜15歳
    子どもの精神的、肉体的な発育状況によって、子どもの意思を尊重するとの取り扱いがされています。
  • 15歳〜20歳
    子どもが自分で判断できるので、子どもの意思を尊重します。
  • 20歳以上
    20歳を過ぎれば、親権者の指定の必要はありません。

※子どもが万15歳以上になっているときには、家庭裁判所な子どもの意見をきかなければならないことになっています。

親権とはどういうものか

親権というのは、法律的には、「身上監護権」と「財産管理権」とに分けられます。

  • 身上監護権
    子どもの身の回りの世話をしたり、しつけ、教育をしたりすることです。
  • 財産管理権
    子どもに財産があればこれを管理することであり、また子どもが法律行為をする必要がある場合に、子どもに代わって契約、訴訟などの法律行為をすることを言います。

これは子どものための制度であり、親のための権利ではありません。親権を二つに分けて考えることは合理的なことですが、特に定めをしないかぎり、両方とも親権者がすることになります。

離婚の場合、「身上監護権」の部分を親権から切りはなして、親権者とは別に監護者を定めることができます。

親権と監護権を別々に決める場合

親権という言葉のせいか、これを失うと子どもに対する親としての権利が何もかもなくなるかのような気持ちになりますが、親権を持たない親も子どもの扶養義務がありますし、子どもをどう育て、どう教育するかなどについて、親として口を出す権利はあります。もし、子どもを引き取らない親が親権にこだわり離婚できないのであれば、親権とは分離して監護者を決めることもできます。親権者にならなかった場合も、監護者になれば、子どもを手元において自分の手で育て、教育をすることができます。

監護者を決めた場合には、親権のうち「財産管理権」は親権者が単独で行使し、「身上監護権」は親権者と監護者が共同で行使することになります。

監護者については、協議離婚の場合は届出書に記載すべき事項となってはいませんが、協議により定めることができます。調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合も監護権者を指定することができます。

監護者は、離婚届には記載されませんので、協議離婚の場合には必ず念書を作成するとか、公正証書を作成するとかしておきましょう。

第三者でも監護者になれる

経済的な事情や健康上の事情で、両親が子どもの世話ができない場合があります。そのようなとき、親権者を決めたうえで、夫婦の協議、または家庭裁判所の審判によって、第三者に監護者になってもらうことがあります。第三者には双方の親や親戚のはかに、児童福祉施設も含まれます。

親権者でない方の親が監護者を決めずに子どもを育てる場合

親権者でない方の親が監護者を決めずに事実上子どもを育てる場合があります。何も決めずに事実上育てる場合は、立場が不安定になります。親権者が親権にもとづいて子どもを引き渡せと要求してきたり、子どもを養子に出したりすることを防げませんので、必ず監護者を決めるようにします。

決まらない場合はどうすればよいか

どちらも親権はほしい、また、いらないという場合に、協議で決まらなければ家庭裁判所へ親権者指定の調停を申し立てます。それが不成立であれば、手続きは移行して審判になります。

裁判離婚する場合、裁判所が父母の一方を親権者と定めます。

監護者についてもまず協議で決め、決まらない場合には、家庭裁判所に子の監護者指定の調停を申し立てます。

審判では家庭裁判所が職権で手続きを進め、家庭裁判所調査官の事実調査があります。子どもの家庭環境が調べられ、当事者の審理が行われた後、審判が下されます。

親権者を変更したいとき

一度、親権者を決めたからといって、永久に変更できないわけではありません。事情が変われば親権者を変更できます。

この手続は、両親の間で協議ができてもそれだけで変更することはできず必ず家庭裁判所で親権者変更の調停または親権者変更の審判により決定されなければなりません。それには戸籍の変更が必要であり、さらに、子どもをたらい回しにするような親の身勝手による変更を避けるためです。

この申し立ては、夫婦のどちらからでもできますし、子どもの親族であれば、祖父や祖母からでもできます。子ども本人には申し立ての権利はありません。親権者は戸籍上の記載事項ですから、親権者の変更によって戸籍上の親権者の変更が必要になります。

申立てがなされると、まず家庭裁判所の調査官が、現在の親権者の状況が子どもの養育、監護にとって適切であるかどうか調査します。子どもがある程度の年齢に達している場合には、調査官が子どもに直接話を聞く場合もあります。この調査によって、現状が子どもの養育、監護にふさわしくないと判断されて初めて親権者の変更が認められます。

※調停の申立ては相手の住所地または当事者が合意で定める家庭裁判所。審判の申立ては子の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

監護者を変更したいとき

監護者の変更は、親権者の変更と違い、戸籍上の記載がありませんので、両親の協議だけでもすることができます。

協議できないときは、家庭裁判所に子の監護者変更の調停または子の監護者変更の審判を申し立てます。監護者の申し立ては親権者の申し立てと違い親族に限らず誰でも申し立てることができます。子ども本人には申し立ての権利はありません。

※調停の申立ては相手の住所地または当事者が合意で定める家庭裁判所。審判の申立ては子の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

どんな場合に親権者・監護者の変更が認められるか

家庭裁判所が子どもの福祉、利益のために必要があると認めたときに限られます。子どもを養育する環境が悪化したり、親権者の長期入院、海外赴任などで子どもの世話ができなくなった、継母との間がうまくいかない場合などに限られます。親の自分勝手な都合で変更できるわけではありません。

具体的には養育の熱意、経済力、環境、新たな配偶者の熱意、経済力などを比較し、子どもの意思などをも考慮してきめられます。

親権者のほかに監護者を決めていた場合、親権者と同様、子どもの福祉、利益のため必要があると認めた時には、家庭裁判所は監護者を変更することができます。

※親権を持たない監護者が緊急に親権を行使しなければならないような事情がある場合には、親権者の変更の申立てをすると同時に審判前の仮処分の申立て、親権者職務執行停止、代行者選任の仮処分をしてもらい、自分が代行者として親権を行使するということもできます。

親権者と監護者が同じ場合の変更は難しい

親権者と監護者が同じで、親権の変更によって、子どもの生活に影響が及ぼされると考えられる場合は、子どもを取り巻く環境はできるだけ継続して、安定していることが望ましいという観点から、変更が認められることは少ないようです。しかし、現在の親権者に、子どもを養育監護する意志が認められないなどの問題があれば、親権者の変更は認められやすいでしょう。

親権者変更の届

親権者の変更が認められたら、審判の確定または調停の成立の日から10日以内に、審判書または調停調書の謄本を添えて市区町村役場の戸籍係に届け出ます。子どもの戸籍の身分事項欄に親権者が変更した旨が記載されます。

親権または管理権を喪失させられる場合

子どもを他人に任せきりで行方不明になったり、子どもへの暴行や虐待、労働の強制など、親権者が責任を果たさず、養育する意思が認められない場合は、一方の親や親族、検察官、児童相談所の所長などが、家庭裁判所に親権の喪失を申し立てることができます。

同様に親権者の管理が不適当であったためにその子どもの財産を危うくした時は、親権のうちの財産管理権のみの喪失も申し立てることができます。

親権喪失の申立があると、審判が確定するまでの期間、親権者の親権行使を停止し、たとえば祖父母などを親権代行者とすることもできます。

親権喪失が宣告されて親権者がいなくなれば、子どもの親族、児童相談所の所長は家庭裁判所に後見人の選任を申し立てることができます。後見人は親権者とほぼ同じ役割を果たします。後見人には一般的に親族がなりますが、養護施設に預けられた場合には、その管理責任者がなります。

親権喪失の原因が止めば、本人の親族の申立てによって、家庭裁判所は親権の宣告を取り消すことができます。この場合、後見は当然終了することになります。

親権者がいなくなっても、もう片方の親が自動的に親権者になることはありません。親権者になりたければ、家庭裁判所に親権者変更の申し立てを行う必要があります。

親権または管理権を辞任する場合

親権者はやむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権または管理権を辞任することができます。やむを得ない事由にあたるとされた事例としては、親権者が刑に服する場合、重病である場合、長期間海外に滞在する必要がある場合などがあります。

親権を辞任したい親権者は、自分の住所地の家庭裁判所へ親権辞任の許可審判を申し立てます。

家庭裁判所が許可の審判をした場合、辞任許可審判書の謄本を添えて親権辞任の届出を市区町村長にします。この届出により辞任の効力が生じます。

親権の辞任がありますと、当然親権者がいなくなりますが、他方の親が自動的に親権者になるわけではありません。

親権を辞任した者は、遅滞なく後見人を選任するよう家庭裁判所へ申請しなければならない義務があります。

やむを得ない事由によって親権を辞任した親権者は、その事由が止めば家庭裁判所の許可を得て、親権を回復することができます。

親権回復許可の審判があった時は、回復許可審判の謄本を添えて、親権回復届を市区町村長に届け出る必要があります。この届出によって回復の効力が生じることになります。この場合、後見は当然終了します。

※親権者が自分で子どもの面倒をみられなくても祖母などの監護補助者に頼むなど、いろいろ方法は考えられますから、辞任するのは最後の手段ということになります。

お互い子どもを押しつけ合ったらどうするか

この場合、結局裁判所がどちらかに決定します。養育そのものは施設やその他の監護者に委託するとしても、まず親権者を決める必要があります。

親権者となった親は、社会福祉事務所や児童相談所に言って児童福祉司や児童相談員に相談すべきです。

さまざまな事情から、どうしても親を監護者にすることがむずかしい子どもは、国の養護施設で国が親に代わって監護することになっています。

親権者が死亡した場合

親権者である父が死亡した場合に、母が必ず親権者となるわけではありません。

法律では、「親権者の不在の場合は後見が開始する」としています。この後見とは親権者がいない未成年の子どもの財産を管理し、また世話をすることを意味します。遺言で後見人を指定していた場合にはその者が後見人となります。指定していない場合には子どもの親族その他の利害関係人の請求により家庭裁判所が後見人を選任します。

以前は、後見開始後の親権者の変更は許されないものとされていましたが、最近では後見開始後の親権者の変更も認められるようになってきていますので、生存している親は親権者変更の審判を申し立てることになります。

一方が力ずくで子どもを引き取ってしまった場合

夫婦の離婚問題がこじれて長期間の別居状態が続いたり、親権者にも監護者にもなれなかった親が力ずくで子どもを引き取ってしまうことがあります。

審判前の保全処分

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親権者、監護者の協議ができない場合には、家庭裁判所に調停、審判を申し立てますが確定するまでに時間がかかりますので、その間子どもをどちらの親が引き取るかを決める審判前の保全処分という制度があります。審判申立と同時か、審判を申し立てた後で保全処分を申し立てることになります。申立が認められる基準は子どもの権利、福祉です。この申立が認められると最終的な審判でも親権者、監護者として認められる可能性が高くなります。この申立を認める審判には、法的な執行力があります。

子どもの引き渡し請求

親権者にも監護者にもなれなかった親が子どもを連れ去った場合、他方の親はそれを取り戻すために、家庭裁判所に子どもの引き渡し請求の調停または審判を求めることができます。調停で話し合いがつかなければ、そのまま審判手続きに移行します。

 
 
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