別居する場合、住民票は移した方がいいですか?

別居後に離婚するか復縁するかによって、住民票を移すことにメリットもあればデメリットもあります。

別居した場合の住民票の取扱について

別居した後、住民票はどうする?

結婚して共に生活してきた夫婦が、関係性が悪化してしまい、離婚を見据えて別居という選択をするケースもあります。
また、離婚を回避し関係を修復するために、あえて一時的に別居するという場合もあるでしょう。
そんなときに気になる事の1つが、別居に際して住民票を移動させるかどうか、という事です。


これについては、その別居が離婚を見据えた別居なのか、夫婦関係を修復しまた共に暮らすための別居なのか、によって、住民票を移すべきかどうかが変わってきます


今回は、別居に際して住民票を移した場合どんなメリットとデメリットがあるのかについて、「離婚を前提とした別居」と「離婚しない事を前提とした別居」の2つの観点から解説したいと思います。


児童手当の受給者変更が出来る

中学生以下の年齢の子供がいる場合、市町村から児童手当が給付されます。
この児童手当は、基本的には世帯主(多くの家庭では夫)の口座に振り込まれます。


そのため、別居して世帯主ではない方が子供と一緒に暮らす場合、そのままでは児童手当による金銭的援助を受け取れないまま子供を養わなければならなくなります。
世帯主である配偶者から児童手当の分のお金を送金してもらうこともできるでしょうが、離婚を前提として別居している場合、夫婦仲が良好ではないケースが多いので、お金のやり取りをストレスなく行うのは難しいでしょう。


しかし、住民票を移しておけば、配偶者とは別世帯ということになり、手続きをすることで、子供と生活を共にしている方が児童手当を受け取れるように変更することができます。


他学校へ子供の編入手続きが可能

別居をして生活の拠点を移すと、子供の学校への編入手続きが必要になります。


しかし、住民票をそのままにしておくと、この編入手続きができません。

基本的に子供は住民票のある地域の学校へ通うことになります


別居時に住民票を移しておけば、別居先の住所で近くの学校に子供を編入させることができます

公営住宅への申込みができる可能性がある

別居して実家に帰れる場合は問題ないでしょうが、新たに賃貸などの物件を探さなければならない場合も多いでしょう。
しかし、一般的な賃貸住宅を借りれるほど経済的な余裕がないという人も少なくありません。


特に子供を連れての別居となると、住宅にかかる費用はできる限り抑えたいところです。
そこで選択肢の1つに入るのが、都道府県や市町村が運営する公営住宅です。

しかし、基本的には婚姻中の夫婦の別居先として公営住宅に申し込むことはできません。

ただし、住民票を移しておけば、別居から一定の期間が経過していると、一般的なひとり親家庭と同等とみなされ、公営住宅に申し込める可能性があります。 運営する自治体によって異なりますので、詳しくは窓口に確認してください。


医療費助成制度の利用

障害のある人やある一定以下の年齢の子供、ひとり親家庭等は、各市町村の医療費助成制度を利用できる可能性があります。
医療費助成制度を利用すると、医療機関にかかった際の医療費の自己負担額を抑えることができます。


ただし、この制度は各市町村ごとで設けられている制度なので、別居によって別の市町村に移り住む場合は、その都度手続きが必要です。
その際に住民票も確認書類として提出しますので、このような各自治体の制度を利用するためには住民票を移しておいた方が、手続きがスムーズに進みます。


離婚しない事を前提とした別居の場合

離婚する事を前提とした別居で、住民票を移した場合のメリットをご紹介しましたが、別居しても離婚はしない、将来的には復縁を考えているという場合で、住民票を移してしまった場合のデメリットについてご紹介します。


住宅ローンの契約に違反する

住宅ローンを借りている場合、名義人は住宅ローンの契約に基づき、住宅ローンのある住居(住所)で生活をしなくてはならず、基本的に住民票を移すことはできません。


住民票を移すことで住所変更をして、それぞれのメリットを得ることができますが、住宅ローンの契約に違反してしまうため、その後のローン返済などで問題が生じる可能性があります。
また、住宅ローン控除の制度を利用している場合、住民票を移すと、住宅ローン控除を受けられなくなる可能性があります。


場合によっては、住宅ローンの名義人でも住所の変更を行うことが認められることもありますが、いずれにしても、所定の手続きが必要になりますので、契約している住宅ローン会社に確認を取る必要があります。


夫婦としての権利が認められなくなるものがある

住民票を移すということは、離婚届を出していなくても、「離婚したもの」と同等に扱われる部分もあります。
そのため夫婦であった時に受けていた恩恵、特に扶養控除などの面では負担が大きくなってしまいます。


夫婦のどちらか一方の健康保険(社会保険)に自分も被扶養者として加入している場合、別居の実態が住民票上でも確認できる状態になると、健康保険の扶養控除が受けられなくなるのです。


そのため、自身で新たに国民健康保険や健康保険に加入し、保険料を支払う必要が出てきます。


また、万が一配偶者が亡くなった場合、ふつうの夫婦であれば遺族年金を受け取ることができますが、別居し住民票まで移してしまっていると、まだ離婚していなくても遺族年金が受け取れない可能性もあります。


このように、別居をしても離婚をしないという場合、住民票を移してしまうと、後の手続きが複雑で面倒であったり、夫婦としての権利が無効になってしまう場合があるので、離婚を考えていないのであれば、住民票を移さない事をおすすめします。


離婚するつもりなら住民票の移動はメリットが多い

離婚するつもりがあるなら、別居したときに住民票を移動するのはメリットが多いですが、離婚する気がないのであれば、ほとんどメリットはありません。


むしろ、離婚するつもりがないのに住民票を移すとデメリットしかありません。


そのため、離婚を前提とした別居でない限りは、住民票を移さないというのが正しい選択になります。


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