親権者が、元配偶者と子供との面会を拒否することができますか?
基本的に、親権者が一方的に面会交流を拒否することはできません。しかし事情によっては、面会交流の拒否を認められる場合もあります。順を追って解説します。

夫婦が離婚するとき、子どもが未成年の場合は、どちらが親権を持つかを決めなければなりません。


親権は、これまでどれくらい子どもの養育に関わってきたか、経済的に自立しているか、第三者の助けを借りられる状況か、収入はどれくらいあるか、子どもがどちらの親と生活することを望んでいるか、などを総合的に判断し、子どもにとっての利益を最優先に決定されます。


親権を持つ親は、子どもと生活を共にすることができますが、親権を持っていない方の親(非親権者)は、離婚と同時に子どもと離れ離れの生活をすることになります。


しかし、離婚しても子どもの親であることに変わりはありません。そこで、非親権者は、面会交流権といって、子どもと面会し交流する権利が法的に認められています。


しかし、親権者によっては、非親権者と子どもをなるべく会わせたくない、という人もいるでしょう。親権者は非親権者からの子どもとの面会の要求を拒否することは可能なのでしょうか?


今回は、面会交流は拒否できるのか、について簡単に解説していきます
面会交流権について知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。



非親権者と子どもの面会交流は、拒否できる?


面会交流権とは、非親権者が子どもと面会する権利のことです。
面会交流権は通常、親権を決めるときに同時に決定されます。


どれくらいの頻度でおこなうか、場所はどこか、連絡はどのようにとるか、子どもの送り迎えは誰がするか、などを詳細に決めておくことが必要です。


親権者がいくら非親権者に子どもを会わせたくないと思っても、この面会交流は、基本的に拒否することが出来ないものです。


面会交流権は、先に述べたとおり、非親権者の権利でもありますが、同時に子ども自身の権利でもあるためです。


面会交流の拒否が認められるケースとは?

ただし、例外的に面会交流を拒否できるケースがあります。


1. 非親権者による子どもの連れ去りをされる可能性があるとき


ひとつは、非親権者による子どもの連れ去りの可能性がある場合です。


面会交流を行った際に、面会交流の時間を超えても連絡もせずに家に帰さなかった、などという行為が繰り返された場合、面会交流を拒否できる可能性があります。


2. 面会交流の決めごとが守られていないとき


公園でしか会わない、と決めていたのに自宅に連れて行ったとか、月に一回と決めていたのに強引に2回会おうとしたとか、すでに決まっている面会交流の決め事を守らない状態が続いた場合、面会交流の決めごとを守らなかったとして、拒否できる可能性がでてきます。


3. 非親権者による子どもに対する虐待の恐れがあるとき


もともと子に対する暴力があった、面会交流に行かせたら切り傷や殴ったあとがついていた、お酒を飲ませたりタバコを吸わせたりしていた、など、子どもを虐待している可能性がある場合、面会交流は拒否できます。


面会交流は子どもの利益になるときにのみ行われるものなので、子どもに対して明らかな不利益がある場合には、ただちに中断されます。


4. 子どもが強く拒否しているとき


面会交流権があるにも関わらず、子ども自身が、会いたくないと強く拒否している場合、子どもを無理やり行かせるわけにはいかないので拒否できます。


ですが、本当に子どもが拒否しているのか、親権者が子どもにそう言うように仕向けているのか曖昧な場合、法廷などで争うことになります


離婚時に決定した面会交流をさせない場合のリスクとは?

以上に述べたように、面会交流は拒否できるケースもあります。


ですが、上記のようなことがなければ基本的には面会交流をさせる必要があり、理由もなく面会交流を拒否した場合は、履行勧告、間接強制、慰謝料請求などをされるリスクがあります。


ですから、別れた妻や夫が憎いから、子どもに関わってほしくないから、といった感情的な理由で面会交流を拒否するのはやめておいた方がいいでしょう。


面会交流の条件や回数は変更できる?


一度合意した面会交流の回数や条件は、親権者、非親権者ともに守らなければならないものです。


ですが、引越して地理的に離れたことで面会交流が難しくなったとか、再婚したなど、条件が変わったことをきっかけに面会交流について再度協議することは可能です。


その場合、協議、調停、審判、裁判などを改めて行う必要があります。


面会交流権は親の権利ではなく、子どものための権利

今回は、非親権者からの面会交流を親権者は拒否できるのか、について解説してきました。


基本的には、拒否はできませんが、連れ去りやDVの恐れがあったり、子どもが極度に嫌がった場合などは、拒否することが認められるケースもあります。


子どもにとっての最善はなにかをベースに、面会交流権は決定されるべきですから、個人的な感情はさておいて、冷静に判断する必要があるでしょう。


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