別居時や離婚後、相手に子供が連れ去られたら、取り戻す方法はありますか?

配偶者、元配偶者による子供の連れ去りが起こった場合、なるべく早く協議や、法的手続きを取ることをおすすめします。各手続きや、連れ去りが起こってしまう原因を解説します。

別居時や離婚後、相手に子供が連れ去られてしまったときの対処法


別居や離婚時、もっとも気になるのは、子供の親権をどちらが持つか、ではないでしょうか。
子供の親権を絶対に得たいと考える人のなかには、別居時や離婚時に、相手の同意を得ずに連れ去ってしまうケースもあります。

今回は、子供を連れ去られた場合、どのようにして取り戻せばいいのかを解説していきます。
別居や離婚を控えている方は、いざというときのために、子供の連れ去りに関する基礎知識を学んでおきましょう。


なぜ子供の連れ去りが起こってしまうの?

ところで、なぜ子供の連れ去りが起こってしまうのでしょうか? それには主に三つの理由があります。

1.監護実績を作ることで、親権争いを有利に運びたい

親権をどうしても得たいと考えた場合、「これまで子供の養育にどこまで関わってきたか」を証明する必要があります。

これまで妻がずっと育ててきた、という場合、夫に子供を養育する能力があるかどうかはわかりませんよね。そこで、自然と妻に親権がとられてしまうケースも多いのです。

そこで、別居を機に子供を連れ去り、育てた、という実績を作ること、育てられると実証することを通して、親権争いで有利にたちたい、と考え、子供を連れ去ってしまうケースもあります。

2.どうしても子供と一緒に暮らしたい

どうしても子供と一緒に暮らしたい、という感情で、別居時に強引に子供を連れ去ってしまうケースもあります。
親権争いをしたら負けてしまうだろう、と予測できる側の親ほど、連れ去ってしまう傾向があります。
親権争いで負けて、一緒に暮らせなくなることがわかっているのだから、せめて今は一緒にいたい、という思いから、法律的にグレーだと知りつつも子供を連れ去ってしまうケースもあります。

3.面会交流したあと帰し難くなった

別居し、子供と離れ離れになっているケースや、親権がすでにもう一方の親にあるケースで、ときどき面会交流が許されている場合、面会交流後に連れ去る場合もあります。

面会交流だけでは満足できず、子供とずっと一緒にいたいという思いから、法律違反だとは知りつつも子供を返さない、というパターンもあります。

子供が連れ去られた場合の手続きの詳細とは?

次に、子供が実際に連れ去られてしまった場合の手続きについて確認しておきましょう。

1.子の監護者指定、もしくは引き渡し審判を申し立てる

最初に、子供の安全を確認しましょう。

話し合いで子供を引き渡してもらえそうな場合は、(元)パートナーと話し合って、引き渡してもらいましょう。
話し合いで解決しない場合は、裁判所に子供の引渡し審判(又は調停)及び監護者の指定審判(又は調停)を申し立てましょう。

ただし、調停は月に一回程度しか開催されておらず、決定に時間がかかっている間に、相手に養育実績を与えてしまう、という不利な側面があります。
そこで、監護者の決定を速やかに行ってもらう必要がでてきます。
そのためには、監護者指定調停・子供の引き渡し審判を申し立てると同時に、審判前の保全処分の申立ても同時に行うのがベストです。

審判前の保全処分とは、審判は決定するまで時間がかかるので、仮の処分を下してもらうための手続きです。
これらの申立ては、子供の住居地を管轄する家庭裁判所に対して行う必要があります。

また、離婚後、親権者・監護者がすでに決まっているにも関わらず、親権者・監護者になっていない側が子供を連れ去った場合にも、子の引き渡し審判および審判前の保全処分を申し立てる必要があります。
いずれにせよ、速やかに行う必要があります。

連れ去った相手が危険な人間で、子供の心身に危害が及ぶ可能性がある場合は、警察への相談も検討しましょう。

2.人身保護請求を行う

親権がないにも関わらず子供を連れ去った相手が話し合いに応じず、子供を速やかに保護する必要がある場合には、人身保護請求を申立てるという手段もあります。

人身保護請求とは、子供に対してDVやモラハラなどの虐待が疑われる場合を想定した請求権ですが、一度合意した親権を奪われそうになった場合でも適用できることがあります。

この人身保護請求に関しては、原則として弁護士を代理人に立てる必要があるため、人身保護請求をする場合には法テラスなどに相談してみましょう。

子供の連れ去り先が海外の場合はどうしたらいいの?

最後に、子供が海外に連れ去られた場合の対策についてみていきましょう。

ハーグ条約とは

ハーグ条約とは、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約のことを言い、世界90カ国以上がこのハーグ条約を締結しています。

ハーグ条約に基づいて、元の居住国に返還するよう求めることができる

ハーグ条約では、基本的には子供を元の居住国に返還することを是としています。
ですから、ハーグ条約に基づき、相手国に、子供を元の居住国に返還することを求めることができます。

まとめ

別居時や離婚時に、相手に大切な子供を連れ去られてしまったら、不安やパニックになったり、強い怒りで頭に血が上ってしまう事でしょう。

しかし、子供の心身の安全のためにも、できる限り冷静にかつ速やかに対策を講じるべきです。
まずは話し合いで穏便に解決できるかどうかを考えましょう。

そして、話し合いでは解決しない場合には、いくつかの法的な手段が存在するということを知っておくことで、いざという時に落ち着いて行動できるようにしましょう。


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